和菓子職人インタビュー

ベテラン塚本が語る職人の仕事観

和菓子業界に入ったきっかけ

高校時代、デパートの地下売り場を歩いていてお菓子売り場に上生菓子が飾ってあるのが目に入り、なんとなく綺麗だなと思いました。 何度か足を運ぶ度に不思議と興味を持つようになりました。

元々芸術的なものやアーティスティックなものが好きだったので、自己主張したい気持ちと、お菓子で自己表現できるんじゃないかという思いが結びついて、次第にこういう仕事に就きたいと思うようになったんです。

職人としてのキャリアは何年目ですか?

36年目です。
一番好きなのは上生菓子です。
得意なのは生地に合うあんこを考えたりバランスを考えること。

とにかく技術向上のために生きていた

20代の修行時代、モチベーションは高かったです。他の人、特に10人ほどの同期には負けたくなかったので。製造ラインに入るよりも自己表現の出来る生菓子を作りたかったんですが、それが狭き門だったので、どうしても負けたくなかった。

あとは「この人についていこう」という人を自分の中で決めて、その人の行動全てを自分の中に取り入れていました。

仕事でも遊びでもその人と過ごして、飲みにケーションからでも技術を盗み出し、翌日には実行。
とにかく技術向上のためだけに生きていました。

その中での苦労は?

自分がイメージしたものが思うようにできなかった事です。 複数個作った時に、綺麗なものとそうでないものがあり、不揃いになっていて。

でもこの繰り返しから、良い物と悪い物の判断が出来るようになりました。とにかく技術向上のためにモチベーションは高く保っていました。

自分の成長が実感できたとき

今までは教科書通りの事や、コピーのみで伝統的なお菓子しか作れなかったのが、自分で考えて、自分の想いと想像力でお菓子ができた時です。
こうすればこういうあんこができる、こういう生菓子ができると自分で考えるようになりました。

あとは立場が上になって、色んな人を抜かしていった事が自分への自信に繋がりました。
最初の概要部分から任されるようになった時は、会社からの信頼を実感しましたし、自分がやってきた事は正解だったと自覚できました。

和菓子職人の醍醐味

終着点がないところです。常に新しいことを考えないといけない。
時代に応じた味・形を読み取って流行りを追いかけ、時代にあったものを作り続けていきます。

お客様に笑顔で過ごしてもらいたい

お客様を笑顔にする、満足してもらうことを常に考えています。
家族の団欒を笑顔で過ごしてもらいたい。
お酒を飲んでケンカをする人はいても、お菓子を食べてケンカをする人はいないですよね。
箱を開けた瞬間に「わあ!」とみんなで喜んでもらえるような、そういう幸せを提供するのがこだわりでもあり、生きがいです。

次の若い世代に伝えたいこと

伝統は守って破るものです。
基礎的な伝統は守って欲しいですが、そればかりだと時代遅れになる。
躍進してたくさんのお客様から好かれるお菓子を作ってほしいです。

あとは色々なお菓子を見てほしい。
そしてこの業界に携わっている以上、例えば絵を見て色の基本を学ぶとか、そういう知識を自分の仕事に取り入れてほしいです。

洋菓子好きにも受け入れられる和菓子を

京菓子・和菓子は、やはりお年を召した方に多く好まれています。
デパートでも前面に出ているのは洋菓子ですし、今の若い人たちは小さい頃からケーキや洋菓子を食べてきたので、これから和菓子を好きになるとは考えにくい。 お年を召した方だけでなく、若い人にも美味しいと思ってもらえる、受け入れられるお菓子を作りたいと思っています。


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